おいしそうに食べる

食べられる物か食べたい物か

「食べられればそれでいい」「どんな高級食材、珍しい料理だとしても、食べて消化してしまえば全て同じだ」と、「食」に対してあまりこだわりを持たない人は意外と少なくありません。

本来、食べるという行為は生きていくうえで必要不可欠の行動です。人間を含むどの生き物も何かを食べて栄養を摂取しなければ生きていけないため、「食」に対する絶対的な本能を持ち合わせているものです。しかし、そこで特定の食べ物を好き嫌いしたり、見た目で良し悪しを判断したりするのは、理性や感情を持った人間ならではの行動と言えるでしょう。野生で生きる動物などは、自らにとって害になる物でない限り、食べる物を選り好みする事はありません。食べられるか食べられないかは本能的に判断される物であり、生きるために必要な物だけを食べる、それだけです。

それに対し、人は食べられる物でも食べないことも珍しくないものです。「好きじゃない」「食感が嫌い」などと自分の好みではない食べ物は、例え栄養豊富で体にいい物でも敬遠してしまいます。食べ物の好き嫌いで多い理由は、味や食感が嫌いだというのが挙げられるでしょう。「自分の好きな味ではないから」「美味しくないから」という理由で食べられる物を食べないとは、日々を懸命に生きる野生動物からすれば信じられないはずです。

さらに、人は見た目だけで食べ物の良し悪しを判断する事もあります。どんなに貴重な高級食材だとしても、第一印象で見た目が美味しくなさそうだと思ってしまえば、そこから手を出す人はほとんどいないでしょう。未知の「食」を目の前にした時、人にとって大切なのは、栄養があるかどうか、空腹を満たせるかどうかという事より、まずどれだけ美味しそうに見えるか、だと言えます。

見た目で美味しそうだと感じるには、いくつかの条件があります。もちろん人によって好みはありますが、ふかふかしていて柔らかそうといった食感を想像させること、いい匂いがして甘そうと味を予感させることなどです。だいたい甘そうで柔らかそうな見た目のスイーツなどは、特に見た目を重視する若い女性に人気があります。例えば人気のパンケーキなどはその好かれる見た目がぴったり該当するでしょう。丸くてふかふかしていそうな食感を思わせる見た目、とろりとしたシロップやクリームがキレイな焼き色のパンケーキの生地に沁みこんでいれば、その甘くなめらかな舌触りを想像せざるを得ません。

料理や食材の見た目から推測される味わいや食感は、人の「食べたい」というポジティブな感情を沸き立たせる効果があります。美味しそうなパンケーキの画像や映像を見れば、そのパンケーキを食べたいと思うのは自然なことです。食べ物の見た目は今や重要なポイントなのです。